2008年7月23日水曜日

7/23 アメリカン・バレエ・シアター『白鳥の湖』 1回目

2008年7月23日(水) 6:30p.m~9:00p.m.

白鳥の湖 プロローグと4幕

  振付    : ケヴィン・マッケンジー
  原振付   : マリウス・プティパ,レフ・イワーノフ
  音楽    : ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
  装置・衣裳 : ザック・ブラウン
  照明    : ドゥエイン・シューラー
  指揮    : チャールズ・バーカー
  管弦楽   : 東京ニューシティ管弦楽団

  オデット/オディール:ジュリー・ケント
  ジークフリード王子:マルセロ・ゴメス
  王妃 : ジョージナ・パーキンソン
  家庭教師 : クリントン・ラケット
  王子の友人: サッシャ・ラデツキー
  ロットバルト: アイザック・スタッパス,デイヴィッド・ホールバーグ
  パ・ド・トロワ : マリア・リチェット,加治屋百合子,サッシャ・ラデツキー
  4羽の白鳥 : カリン・エリス=ウェンツ,マリアン・バトラー,アン・ミルースキー,レナータ・パヴァム
  2羽の白鳥 : クリスティ・ブーン,ヴェロニカ・パールト
  式典長 : クリントン・ラケット
  ハンガリーの王女 : メリッサ・トーマス
  スペインの王女 : ルチアーナ・パリス
  イタリアの王女 : アン・ミルースキー
  ポーランドの王女 : サラワニー・タナタニット
  チャールダーシュ : カリン・エリス=ウェンツ,アレクセイ・アグーディン

本日は『白鳥の湖』1回目を観てまいりました。何となく盛り上がりの少ないマッケンジー版と3幕まで思いきや、・・・ 最終4幕、涙無しに観れないエンディングでした。結果よければ全て良し?・・とは行かないと思いますが、何にせよこのチケット代金は、最終幕の数分の為のものだった様に思います。
ここから先、ネタばれになるので、気をつけて欲しいのですが、取り合えず書いてみます。

パリ・オペラ座『白鳥の湖』に少し解釈が似ているかも知れません・・マッケンジー解釈のロングインタビューを和訳して頂いており、その中で、概ね2点ある様です。
■1点目は、2人のロットバルトについて
  これは、早着替えが間に合わず、いっその事2人で1役をという結論(余りに大まか過ぎますが・・!)
  また、ロットバルト自身の背景力(悪魔では無く人間の本質)の表現をソロに託すなど
■2点目は、3幕の解釈
  ロットバルトはアイザック・スタッパス,デイヴィッド・ホールバーグの今回2人です
  3幕はもちろんデイヴィッド・ホールバーグの登場(悪魔が変化したイケメン← そう書いている)
  ロットバルトが王妃に敬意を表すのは、信頼獲得。オディールの競争相手を蹴落とす為、
  彼は1人ずつアプローチする。結果として王妃に「息子の花嫁はこんな女性でいいの?」・・と。
  その状況でオディールを登場させ優位性を演出する。そこで王子は、もしかして現実に結婚する
  人なんて考え出した時、現実で目の前にいるオディールを結婚相手と納得させる無意識。
  心では分かっているが今存在するオデットの幻想で納得させようとする(又は、勘違いする)
  誰もが陥る間違い。などなど・・・
  解釈に異論を感じる方も多いかと思いますが、記述によるとマッケンジー版の核です。

本題です
『プロローグ』からの演出です。ヌレエフ版とは少し違いますが、オデット姫が物音に気づき、デイヴィッド・ホールバーグ的なロットバルトに一瞬にして恋に落ちた感じがしました。これも罠だと知らないオデットはアイザック・スタッパスの悪魔的ロットバルトに白鳥にされ、あろうことか苛められる。(この演出は凄かったです・・ここまでやるか!)

『1幕』21歳の王子の祝宴です。
実は先日の『海賊』ですが、その前英国ロイヤルバレエの色彩が大好きな私は、いかにもアメリカっぽい明度の高いパステル、アクセントの原色、タン系のブラウン等、衣装の色彩については余り好みではありませんでした。特に舞台照明と衣装のコントラストは、とにかくミスマッチと感じていました。その流れはやはり変わらず・・・。 祝宴での衣装もゴールド系と中間色を使用していますが、やはり明度が高い・・・・。でもレース等はすごく綺麗なものを使用している様でした。
大好きなワルツからの始まりです。とってもノーブルなマルセロ・ゴメス♪ 今日も彼は素敵です。
振る舞いは生まれたまま王子って雰囲気を持っており、友人等への心遣いも丁寧。 また分業制がハッキリしているお国柄、全てはエンターティメントを演じる事が出来るコール・ドもすごく楽しそうで観ていて幸せな気分です。ジュリー・ケント, マルセロ・ゴメスって、このカンパニーでも優しいのかな・・なんて考えます。ほんとみんなでよい舞台を作りたいオーラが本当に出ていました♪ パ・ド・トロワは、マリア・リチェット,加治屋百合子,サッシャ・ラデツキーってビルバントを演じてた彼ですね。 今日はサポートに徹していました。加治屋さんは初見でしたが、安定していますね。でも全体的に拍手が少ないのはなぜ?(音のとり方は他の方と違い、独特です)

『2幕』数時間後の湖畔
オデットとの出会いのシーンでの始まりはとても抑えた表現でした。ケント目的でこのチケットを取りましたが、とっても有機的なオデットです。マイムでの残酷な会話で怒り心頭のジークフリードは、ロットバルトが現れた瞬間、母から頂いた石弓で打抜こうと思った瞬間、オデットは間に立ちます。魔法が解ける前に悪魔ロットバルトを打抜けば、オデットも死ぬ運命。理解したジークフリードは運命を共にする決心をしてみた。・・パ・ド・ドゥではケントの調子が上がっていない感じがしたが、あっという間でした。
一番好きな幕ですが、何となくですが今日は余り集中出来ませんでした。 コール・ド、小さい白鳥はもう少し揃っていたら綺麗だった気がしました。が2羽の白鳥のクリスティ・ブーン,ヴェロニカ・パールト(とっても素敵でした♪)は舞台栄えがする容姿です。

やっと休憩です。
長かったです。

『3幕』大広間
ハンガリーの王女 : メリッサ・トーマスに釘付けでした。こんな美しい方がいるとは・・アラバマ州バーミンガム出身らしいのですが、写真で観るより美しい方です。 
面白い演出、花嫁候補はお国のダンスを紹介します。 1人1人このダンスの間、王子との会話を楽しみます。次々とハンガリー,スペイン,イタリア,ポーランド,チャールダーシュが花嫁をエスコートし、ディベルティスマンが展開されます。見事でした。
王妃は求婚するのは誰・・って言い、候補者達を王子が確かめますが、やっぱり気に為るオデット。デイヴィッド・ホールバーグの登場です。一気に空気が変わります。(今日一番ドキドキした舜間) もう彼の独断場。 王妃への気遣いから、今度はソロ、その後花嫁候補を1人1人確かめる様にチェックします。 この女性達はすっかりロットバルトの魅力に惹きつけられた様子。 全然役柄に負けないオーラ。とっても男前です。 展開が少し分かり難いけど、多分彼女達は恋したと思います。 いよいよオディールと王子のパ・ド・ドゥ。
『4幕』は続けての構成ですが、つなぎは今までのどの版より、うまく行っていると思います。 静寂(変な間は)は無く、つなぎでコール・ドの美しいフォーメーションが観れました。 このシーンの振付はとても○。
ここからが今日の本題ですが、オデットは約束が反故になった事で、運命を受け入れるしかない事を、王子に告げます。王子は先ほどのオディールとの事、現実前にいる女性との結婚の約束、決意の事も無にして、心と現実の違いを認識し始め拒否し、現実の象徴であるロットバルトと戦います。もう運命を共にする事しか出来ない決意が彼(ゴメスと言ったら良いか、ジークフリードなのか)から、苦しい位に伝わります。オデットがマイムで死を語ったときから、ロットバルトとの戦いが終わり、逆に選択を決意した2人に湖への「ダイビング」が盛り上げました。
この間、数分だと思いますが、もう涙・・この終わり方は見事でした。
楽曲の選択は比較的良かったと思います。(オーケストラは肝心なところで外すことがあり明日に期待します)

ゴメスは大分練習したのかな?って意味違いますが、とにかく胸を打たれて今日も楽しませていただく事が出来ました。
今日は珍しく、10分くらい始まりが遅れていました。
また明日、ニーナの舞台を観に参ります。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿