2009年9月26日土曜日

9/26 東京バレエ団 『ラ・バヤデール』?


  本日は、東京バレエ団の『ラ・バヤデール』を観てまいりました。本当にこの単独バレエ団公演は久しぶりです。いい天気なので、少し散歩しながら文化会館へ行きました。 ナタリア・マカロワ版『ラ・バヤデール』は、英国ロイヤルバレエ団のアスィルムラートワ&イレク・ムハメドフの大変官能的なドラマティックな、ダウエルが素晴らしい物語をつむいでいるDVDを見ておりましたし、版としてよりも、この『ラ・バヤデール』が、私にとっては奇跡的な作品として位置しております。「影の王国」のあの楽曲(もちろん他も)。
今までも何度もこのBLOG上で書いてますが、今日もやっぱり涙が出ました。
注意:
でも今日の舞台の感想は、東京バレエ団のファンの方には少し気が悪い内容となりますので
お勧めしません

 
  
 


東京バレエ団創立45周年記念公演VII
東京バレエ団初演
マカロワ版「ラ・バヤデール」(全3幕)
  振付・演出: ナタリア・マカロワ(マリウス・プティパ版による)
  振付指導: オルガ・エヴレイノフ
  装置:    ピエール・ルイジ・サマリターニ
  衣裳:    ヨランダ・ソナベント

◆主な配役◆
  ニキヤ(神殿の舞姫):吉岡美佳
  ソロル(戦士):木村和夫
  ガムザッティ(ラジャの娘):田中結子
  ハイ・ブラーミン(大僧正):後藤晴雄
  ラジャ(国王):高岸直樹
  マグダヴェーヤ(苦行僧の長):高橋竜太
  アヤ(ガムザッティの召使):松浦真理絵
  ソロルの友人:柄本弾
  ブロンズ像: 松下裕次
【第1幕】
 侍女たちの踊り(ジャンベの踊り):西村真由美、乾友子
 パ・ダクシオン: 佐伯知香、森志織、福田ゆかり、村上美香
          吉川留衣、矢島まい、川島麻実子、小川ふみ
          平野玲、横内国広
【第2幕】
  影の王国(ヴァリエーション1):岸本夏未
  影の王国(ヴァリエーション2):奈良春夏
  影の王国(ヴァリエーション3):乾友子
指揮: ベンジャミン・ポープ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

 木村さんのソロルはもう見てられない位に、精気が感じられず近くで見てた関係上、がっかりです。どうにか2幕目で少しだけ(でも)復帰したように感じましたが、バレエに対してネガティブな彼を初めて見た感じました。 もちろんソロルと言う役柄としては、2幕での陽気さはありませんし、苦悩・迷い・軽率さと、どうしようもない反省、エンディングでの晴れやかさ、をやはりベテランとして欲しいですし、彼ならと思い、この日を選んで購入しておりました。

 ところが、過密な今年のスケジュールなのか、気分的な問題なのか判りませんが、1幕出てきた瞬間から、”なんだか、やる気の無さ” を彼の体から感じました。 一気のさめますね、こんな態度・・って。 一方吉岡さんのニキアは、美しいし素晴らしい出来です。ニキアになりきっている・・って言うと、もう少し踊りこんで、また消化して高みを目指すパターンでしょう。とっても奇麗なラインと、音に乗った、”そう!ここでこの音”って部分をしっかり持っております。 これも残念ですが田中さんというより、パ・ダクシォンの美しさを感じませんでした。もちろんこの部分は正確なステップが何より必要と感じておりますが、それが無いというより、音に乗っていない”わたし的な苦しさ”が有りました。なにより明るさと、時折見せるソロルの苦悩、ガムザッティのポジティブさ、あとは舞台を構成する衣装、ライト他もろもろ。 女性2人男性1人の2組と真中にニキア&ソロルが繰り広げる、パ・ダクシォンは前半で盛り上がれないと後の、ニキアのヴァリ、影の王国の群舞へ続くギャップが弱くなります。私的には、こうであって欲しい・・って部分が強すぎるのかもしれません。ね・・。 

 見方を変えると、東京バレエ団初演演目としての完成度は高いのかもしれませんね。ほんとう・・今回、このバレエ団には珍しく(ってすみません)衣装のセンスはとっても洗練されているし、美しいものでした。いつもの色調から、豪奢なイメージへの変換は成功と言えます。

 本題ですが、ニキアの役作りは、とってもシュールでした。いい♪ これ以外に云い様が無いって感じ。1幕最初のヴァリエーションで ”気高い、強いニキア” と感じました。大僧正がベールを取ってからの視線が少し上(アスィルムラートワもそうだった(気がする)から、マカロワ版での標準解釈?)を向いており、そこから始まるヴァリエーションがきちんと筋が通っていました。まさしく周囲を圧倒する雰囲気を放っています。 ここでニキアに、また彼女の考える役柄に、確りと掴まれた気がします。こんな神聖な儀式の途中ですが、例の通り大僧正(ハイ・ブラーミン)はニキアに求愛します。それに対して、稟とした態度で拒絶、絶対に大僧正が折れるまでは・・という言葉が伝わりました。 その直後、マグダヴェーヤはソロルが待っている事を告げた時の優しそうな笑顔は、ギャップがとても素敵。 でも・・・その後が残念でしたが。この場最後の激昂は後藤さん大僧正の勝ちでしょう♪ (迫力あり)

 ラジャ屋敷内部の場面、ソロルに結婚を命じます。またここで、ソロルの友人・柄本さんの演技が可愛かった。 もう待ってましたとばかりに”えぇ”って声が聞こえます。でもガムザッティの容姿をみた瞬間から浮気心満開でしたね。木村さん♪ 突然の大僧正が凶報を持ってきます。いくら激昂したからって、なにも子供みたいに言いつけに来なくても・・っていつも思うのですが、やっぱり反省しておりました。いやいや、ニキアじゃなくってソロルだろ! 見事こっぱみじんの大僧正ですが、いつもながらフォローが凄い♪
 実は席の関係で楽しめるシーンでしたが、ニキアvs ガムザッティの表情があまり見えませんでした。ニキアに対して、ガムザッティが余りに弱い為、喧嘩になっていなかった様に感じたのは気のせいかもしれません。 この役はやはり適役が居ると思いますが、今は休んでるのかな? 多分、今の田中さんは正確に表現するのは難しいのでしょう・・・思い切って傲慢なはじけ方がいいのに。
 まだ1幕が続きます。ラジャの宮殿の外で、豪華な婚約式が執り行われます。マカロワ版のディベルティスマンでは、派手な太鼓の踊りはありません。壺(?今日は無かったような)は・・・。 パ・ダクシオンは先ほどの通り。

 やっと休憩が入りました。2幕ソロルがアヘンを吸う所から、木村さんが切れて見えてきました?って。 ソロルの短いヴァリエーションがあり、影の王国、幻想が始まります。今まで、新国立劇場バレエのコール・ドがって何度も言ってきましたが、東京バレエ団・コール・ド・メンバーはとても頑張ってた事。すごく感じ入りました。ここは意外と少なかったのですが、この日のわたし的にはブラボーでした。3人のヴァリエーションは、乾さん以外の音の取り方が、またもや私に合わなかったのでした。なんとなく奈良さんは遅れてたり、ゆっくりとした指揮だった為か、良くわかりませんが、また岸本さんは速かったり、遅かったりと・・、観てて少し力が抜けます。でもその後のチュチュの吉岡さんが凄かった。完璧と思える位の出来のヴァリエーションがありました。確かベールの前だった様に思いますが、とても素晴らしかったです。表情・役作りも、また木村さんのサポートもここにきて良くなりかけ、吉岡さんが宙を舞っている感じがとても素敵でした。(少しタイミング的には遅い様に感じましたが・・それでもOKでした)。 この幻想の幕はバレエ演目の中で何個か好きなシーンはありますがなんと言っても一番です。こんな美しい白のバレエは他には無いです。 

 3幕です。直ぐにブロンズ像の登場となります。 松下さんとってもゴールドです。今まで観た中で、もしかして一番光ってた(物理的にですが・・・ ^^;;)のは彼でした。DVDでは熊川さんで同じ役所でしたが、比較するつもりはありません・・言ってみただけです。 松下さんって以外と体力あるのですね。息もそんなに切れて無く、安心して見ていました。少し首が折れる所が気になりましたが、カッコ良いブロンズ像♪ ソロル&ガムザッティが赤(多分マゼンダ系では無い紅系の色。ライトがイエローが強かったので正確には判らなかった)と、白(ゴールドの縁取りありかも)のウェディングスタイルで登場します。 このパートは凄くきれいでしたね。 まだ幻想に操られるソロルは、完全な無表情で目的意識がはっきりしたニキアに翻弄されます。手に持った花一輪が消え去ります。彼には幻想が見えており、この結婚は間違いであり、わたしはもう帰りたい雰囲気を醸しますが、いやいやそうはいかないラジャとガムザッティ。大僧正も加わり、誓いの儀式でいよいよあきらめるソロル。”崩壊”でした。 最後、物語も終わりですが、木村さんも安心してる気がしました。

なにか今日は少しだけ残念だった気がします。でも初演でこの結果は有りなのか少し先送りにします。
木村さんは好きなダンサーで有る事は間違いないのですが・・・
   

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