前回金曜日と同じキャスティングで、本日も、デンマーク・ロイヤル・バレエ団「ロミオとジュリエット」を観てまいりました。初見の時より、やはり慣れてきています。前回の記憶違い、新しい発見などいろいろ感じたところの多い舞台。また先日はオペラグラスを忘れていたせいも有り、細かい表情などが全然見えなかったのですが、とても勿体ない事をしたようです。
キャスト
キャピュレット家
キャピュレット夫人:ギッテ・リンストロム
キャピュレット公:モーエンス・ボーセン
ジュリエット:スザンネ・グリンデル
ロザライン:エイミー・ワトソン
ヘレナ:セシリー・ラーセン
エミーリア:ディアナ・クニ
ティボルト:マス・ブランストルップ
乳母:イェッテ・ブックワルド
ピーター:イェンス・ヨアキム・パレセン
モンタギュー家
モンタギュー夫人:ルイーズ・ミヨール
モンタギュー公:フレミング・リベア
ロミオ:セバスティアン・クロボー
ベンヴォーリオ:アレクサンダー・ステーゲル
バルタザール: オリヴィエ・スタロポフ
キャピュレット家の使用人
サンプソン:アルバン・レンドルフ
グレゴリー:クリスティアン・ハメケン
ポットパン:バイロン・マイルドウォーター
ルチェッタ:エレン・グリーン
グラティアーナ:ブリジット・ローレンス
カミーラ:ヒラリー・ガスウィラー
ウルスラ: ホリー・ジーン・ドジャー
ネル:マティルデ・ソーエ
スーザン:エリザベット・ダム
モンタギュー家の使用人
アブラハム:ジェイムズ・クラーク
アンジェロ:グレゴリー・ディーン
マルコ:エリアベ・ダバディア
シルヴィア:エスター・リー・ウィルキンソン
フランシス:レベッカ・ラッベ
マルガレータ:サラ・デュプイ
ポーリーナ:レナ=マリア・グルベール
リヴィア:アマリー・アドリアン
マリア:ジュリー・ヴァランタン
ほか、ロザラインの召使い、キャピュレット家の護衛、キャピュレット家の舞踏会の客、モンタギュー家の護衛
僧ローレンス:コンスタンティン・ベケル
エスカラス(ヴェローナ大公):エルリング・エリアソン
マキューシオ:モーテン・エガト
パリス伯爵:マルチン・クピンスキー
娼婦
イモーガン:キジー・ハワード
ヴィオレンタ:マリア・ベルンホルト
旅芸人の一座
イザベラ: ティナ・ホイルンド
ヴァレンティン:ジャン=リュシアン・マソ
ルシアーナ:アナスタシア・パスカリ
ラヴィニア:ジョルジア・ミネッラ
アントーニオ:クリストファー・リッケル
ビアンカ:キジー・ハワード
セバスティアン:セバスティアン・へインズ
ほか、ヴェローナの市民、花娘、元老議員、商人、守衛、会葬者、司祭、修道士、修道女
デンマーク・ロイヤル・バレエ学校の生徒 協力:東京バレエ学校
指揮:グラハム・ボンド
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
今日は、スザンネ・グリンデル、セバスティアン・クロボーの表情をできるだけ観る事に集中したし、ストーリ、解釈などをいろいろと考えながら見ていました。 スザンネ・グリンデルのジュリエットは、少しだけですが好きではないのかもしれません。何事も立ち向かって行く姿勢が貫かれています。もちろんジュリエットはロミオとの愛を貫き通す為にだけ、行動の本質があるのは理解できます。・・が、時々ポイントになる表情をオペラグラスの覗いてみた結果、あまりにも表情が「負けるものか」的な強さがどうしても馴染めません。 私はフェリのジュリエットを愛しています。このジュリエットは勿論、表現のベースは同じだと思うのですが、そこに迷い、自身の無さ・・それが如実に伝わり、それが切なく、涙を誘いますし、このふつうの少女と青年のドラマとして「ロミオとジュリエット」が成り立っている様に思っておりました。
今回、こんな強靭な心身を持ったジュリエットだと、なにがあっても切り抜ける事も出来るのではないか・・と思えるくらいに特別なジュリエットに様に感じられます。もしかして今もって納得は出来ないのですが、クリスティーナ・ミシャネックからの変更点。 芸術監督が観せたかったのは、スザンネ・グリンデルに変更した理由がセバスティアン・クロボーにあるとすると、何となくですが理解出来るのではないでしょうか。 なぜならセバスティアン・クロボーのロミオは運命を背負った感じがしない。 ← ここがポイント。 ロミオは両家を仲直りさせる星の下に、また見方によっては死を背負った運命を感じていたいと思います。彼の若さ、また無邪気さはその表現にやはり未だ無理があります。 ミシャネックのジュリエットを観ていないので何とも自信がないのですが、表情を見る限り、対照的なジュリエットと思います。
などなど書きましたが、本日も涙うるうるです。(強く印象に残った所を書いてみます)
■1幕・舞踏会へロミオ一行様が入場するシーンですが、アップフロアー(と呼んでいるが不明)でジュリエット1人が現れます。ベンヴォーリオとマキューシオはもう中へ、舞台はスポットが当たった前のロミオと後ろのジュリエットのみ、楽曲がドラマチック。忘れられないシーンです。 ノイマイヤーの布石として観客はしっかりと受ける必要があると感じました。 (このシーン大好きです)
■1幕・階段から滑り落ちるのは、初日失敗と思いましたが、演出でした。
■1幕・舞踏会がはねてキャピュレット公、夫人、ティボルトが参列者を送るのですが、送り終わった後に夫人がティボルトに抱きつきます。 あれれ? キャピュレット公が労いをかけるべきではないのでしょうか・・なんて考えていました。
■2幕・街の喧騒の中、エスカレートした双方の間で、事故か意図かマキューシオが絶命したのをきっかけに、ジュリエットとの極秘結婚の喜びも吹っ飛び、ロミオがアップフロアまで追い詰め勢いのまま、殺害。昨日も書きましたが、このシーンは迫力がありますし、ティボルトの死をこの上ないドラマに仕上げたノイマイヤーの感性の素晴らしさに酔いますね♪
■3幕・ジュリエットの寝室では、明日の結婚式に向けての準備といちばん大切な、本人の承諾を取りにキャピレット公、同夫人、パリス、乳母が登場します。ロミオとの愛の為のエンディングストーリーが始まります。ジュリエットはパリスとの結婚を「承諾した」と嘘をつき、キャピレット系の踊りが続きますが、理性では分かっているものの感情との間で、(気が変になる直前をとても巧く表現しています)パリスを拒絶します。強い気持ちがひしひしと伝わります。これだけの強い拒否の表現は初めて観ました。でもなにか悲しみでは無いのが不思議でした。
■3幕・墓室の中、ジュリエットが目をさましてからの数分間の素晴らしさは本当に、(少しだけ大袈裟に言うと)一生忘れれらないかもしれません。 墓室はもちろん明かりが無いので、ジュリエットは怖さを表現します。これは、入口(過去に立ち入った事があるのでしょう、階段も有る事を知っている様でした)に向かい扉を開ける事が出来ない絶望感。 ティボルトの死体をみておののき、絶望しかけた時にロミオを見つけ縋るように、走り出します。 この一連の表現は素晴らしかったと思います。そこからが絶妙です。ロミオを抱きかかえ、(毒薬ではなく)ナイフで自殺したことを温かい血液で感じたと思います。彼の死を前にして絶叫する。 やはり迷いが無いジュリエットは一気に自殺する。 本当にロジカルな組み立てに男性的な思考と、これを見事にこなしているスザンネ・グリンデルに感動しました♪
ってザッと書いてみましたが、もちろんその他にも良いシーンは山積。たった2回ではこれ位稚拙な事しか書くことが出来ない私ですが、次に機会がある時は外せないプロダクションになった事は間違いないと思います。 まずは、ノイマイヤーに、また素晴らしいタイトルロールのスザンネ・グリンデル,セバスティアン・クロボーに、マキューシオ:モーテン・エガト他、関係者にブラボーをお送りします。
もちろんNBSさんにもね(お約束♪)
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