2010年3月6日土曜日

3/5 ロミオとジュリエット アナニアシヴィリ&グルジア国立バレエ




本日は、仕事が休みなのでゆっくりとバレエに行ける日。って思っておりましたが、昨日からの寝不足がたたり、また昨日眠れなくて午後まで眠ってしまい、ギリギリ間に合ったって感じです。CDでも買ってから、また本でも見ながらって思っておりましたが、残念。 でも今日は東京20℃ って本当に温かいし、すっかり季節が変わりましたね♪ 春かも。 少し寒い日と交互で体調を崩さない様に元気に頑張ります。



≪ロミオとジュリエット≫  全 3 幕  
2010年3月5日(金) 18:30~21:30  



音楽 : セルゲイ・プロコフィエフ
台本 : レオニード・ラヴロフスキー,
セルゲイ・プロコフィエフ,セルゲイ・ラドロフ
振付 : レオニード・ラヴロフスキー
振付改訂 : ミハイル・ラヴロフスキー
振付改訂補佐 : ドミートリー・コルネーエフ,イリーナ・イワノワ
アレクセイ・ファジェーチェフ
装置 : ダヴィッド・モナヴァルディサシヴィリ
衣裳 : ヴャチェスラフ・オークネフ
衣裳デザイン補佐 : ナティヤ・シルビラーゼ
照明 : ジョン・B・リード
照明デザイン補佐 : アミラン・アナネッリ
舞台監督 : ニアラ・ゴジアシヴィリ
指揮 : ダヴィド・ムケリア
管弦楽 : 東京ニューシティ管弦楽団



<出  演>  


ジュリエット: ニーナ・アナニアシヴィリ
ロミオ:アンドレイ・ウヴァーロフ
ティボルト(キャピュレット卿夫人の甥):イラクリ・バフターゼ
マキューシオ(ロミオの友人)  :岩田守弘
ヴェローナの太守:パータ・チヒクヴィシヴィリ
キャピュレット卿(ジュリエットの父):ユーリー・ソローキン
キャピュレット卿夫人:ニーノ・オチアウーリ
ジュリエットの乳母:タチヤーナ・バフターゼ
パリス(ジュリエットの婚約者) :ワシル・アフメテリ
パリスの小姓:テオーナ・ベドシヴィリ
ローレンス神父:パータ・チヒクヴィシヴィリ
ジュリエットの友人:ラリ・カンデラキ
吟遊詩人/道化:ヤサウイ・メルガリーエフ
モンタギュー卿(ロミオの父):マヌシャール・シハルリーゼ
ベンヴォーリオ(ロミオの友人) :ゲオルギー・ムシヴェニエラーゼ
居酒屋の主人:ニカ・ジャイアニ



『ロミオとジュリエット』は私にとって特別な演目です
またジュリエット・ダンサーは私にとって女神と同意語



今日もその女神を探しに上野に出かけました。・・って、少し大げさな表現ですが偽らざる気持ちですし、こう書きたい程好きなのです。プロコフィエフの壮大な楽曲の上でダンサーの力量が試されます。友情、仇、決闘、歓喜、饗遊、愛、試練、絶望、一縷の望み、悲嘆、無・・。 どの語彙を組み合わせても足りない演目だと考えます。今回のラヴロフスキー版は、レオニード・ラヴロフスキーの長い振り付けを、息子?のミハイルが改訂し、たぶんですが、アレクセイ・ファジェーチェフ他補佐がグルジア・バレエ団用に少しいじっている感じがします。ファジェーチェフはドン・キホーテなどの改訂も、団に合った短縮版を手掛けておりますが、実はあまりにカットしすぎる傾向が、少し物足りなさを感じる部分があります。これを余韻と考えるか、ダメダメと考えるかは個人の感覚の問題なのかもしれません。ところで今回、ファジェーチェフがキャピュレット卿に扮している錯覚に陥りました。舞台で今まで見た事がないのですが、写真でよく見ておりました関係で、そう感じてしまいましたが、やっぱり錯覚!



結果から言うと、奇跡的な昨日の『ジゼル』と、超奇跡的な本日の『ロミオとジュリエット』でした。



ジュリエット・ロミオ・マキューシオ、ティボルト(偉そうな役作りも負けてないし)、パリス(上品だし)のキャラクターがはっきりと判る。(初めての版だったけどはまりました) それぞれのシーンで、ダンサーたちは素晴らしいパフォーマンス。感情表現が観客に移入され、直球で表現したい気持ちで会場を包みました。マキューシオの岩田さん、今日は少しだけだけど、浮いている感はあったものの、技術、演技の真髄は、以前見た通り、上品な中にもコケティッシュな表情(これがまた豊か)、役作りへのエッセンスがいっぱい。回を重ねれば大丈夫なのでしょうね♪ この3人でのとてもゴージャスな『ロミオとジュリエット』は、後にももう実現出来ない程の舞台なのかもしれません。完成度・・と意味ではもちろん無く・・はグルジア・バレエはソロイストの絶対的な数の不足、コールの力量、(個人的には衣装のセンス)、予算(ここは大事)・・など課題は抱えている筈。 でもニーナとウヴァーロフが、この3時間を完全に掌握し、魅せつけた結果でした。(でもロミオが出ていない、ジュリエットが出ていない時も素晴らしい舞台である事を付加しておきます。一丸となっていた事は確か!) もちろん、結果に対してジゼル以上の、カーテンコールと、拍手、ブラボー、スタンディングオベーション、会場は、ニーナの気持ちに応え、ウヴァーロフの演技の満足し、惜しみない感謝で包まれ終了しました。



疲れた・・疲労感はピークに達して、このBLOGも2回目の翌日更新となりました。(途中まで昨日書いたのですが、ダウン) 本当に満足してて、でまちできる状態でも無く、十分な睡眠をとりました。
でもダヴィド・ムケリアさんはとてもきつかったと思います。東京ニューシティ管弦楽団は最近あまりはずれがなかったと思うのですが、今日は大切な処(いっぱいあるから、逆に浮き彫りって事かもしれませんが)でやってしまっていた感がありました。



本題ですが、
いつもオケの始まりとともに、高揚します
ロミオが広場の立派な彫像前でぼんやり。彫像もでかいがウヴァーロフもでかい。しばらく間延びがあり、町の風景が展開される。モンタギューグループは一段、通りから下がった広場で楽しんでいる。そこへ、抗争相手のキャピュレットグループ。諍いがはじまる。凄い迫力。必要以上に狭い舞台をセッティングして、その中での剣を使った抗争。 実際刺すシーンも演じ切れている。そこへキャピュレット卿、モンタギュー卿がでかい剣を持って登場し、備えている模様。パリスも登場してしまった。 ヴェローナの太守登場。(ここのシーンが良く理解出来ない場合あり。ストーリは先読みしておかないと迷います) 太守護衛の公示は『ヴェローナの大通りでは剣の使用禁止』を提示しているだけ。一応太守の登場もあって、休止しているものの、公示を読むだけ読み、諍いがまた始まる。ここは死体を片づける事も無く、スポットがあてられません。マクミランはこの互いの執念に、あの音を割り当てましたし、インパクトは両家の確執の深さを象徴する事となっていた。舞台は一度幕を下ろし、キャピュレット家の中、支柱いっぱいの豪邸。そこでは女性たちのドレスの準備と品定め。あともてもてのティボルト。舞踏会の準備は下人たちによって進められ、乳母は必要以上に仕切っている。って乳母の位置づけがいまいち理解不能。



2場の始まり。
ジュリエットは舞踏会で着るドレスに着替えないで無邪気に遊んでいます(やっぱりここでも)。 ジュリエットでした、ニーナは。



ジゼルの登場でも感じた若さ、無邪気さはやっぱり思っていた通り。既にわたしの体は緊張感でいっぱい。期待が膨らむ。
またまた暗転、「通りから下がった広場」の光の色を変えてキャピュレット家の内部。騎士達はあの荘厳なテーマの始まり。振り付けは素敵でした。最初騎士たちが手に持つクッションの意味が判りませんでした。「なに?」 進むうちに女性がひざまずきます。その前に騎士はさっ・・とクッションを差し出す。そうか・・って振付。
既に入っているはずのロミオ一行がいない。迷子? その間に騎士たちの踊りが終わり、パリスとジュリエットは決められた進行表通りに、一応お披露目している。やっと登場した一行。いきなり見つめてはしゃぎだしてしまうロミオ。「あの女性は?」 って言葉が聞こえます。
少しだけ我慢して、周りを伺った後、ロミオは待ち切れずにジュリエットのもとへ、宴もたけなわになり、誰が何処に居ることも不明。そんな中、ロミオとジュリエットの出会いのパ・ド・ドゥが始まる。舞台は2人の為に中央天井付近から下ろされた小さな半円型の幕が2人のバックとなり、世界観を表現。わきから見える宴は今も進行中。ほんの挨拶代り・・であるはずが。 そこへ酔っぱらったティボルトが見つけ不審者と言うべき見知らぬ客人へ・・・そうジュリエットはパリスへ嫁ぐ身なのだから、って感じ。 ジュリエットは夢中。パリスは完全に視線から外されてしまった。
ニーナとウヴァーロフの創り上げる世界観はここで既に予測を超えた。ウヴァーロフがジュリエットを見る目は切なすぎる(表現が違いますがそう見えた)。ティボルトが現れてから、そうそうに逃げ帰る侵入者の3人。話題に上がっていた不審者について・・・ティボルトから直接聞いて驚いた乳母がジュリエットに真相を話す・・ショック!。 聞いてしまったジュリエットの理性と感情が互いに喧嘩し、理解を拒絶して入り混じる場面は、忘れられません。深い。 ブラーヴォ♪ 
宴は掃け、帰宅する人にもジョークを飛ばす事無く、「バルコニー」の楽曲が鳴りだす。「バルコニーの無いシーン」が始まる。これはヌレエフ版でもそうだった階段が世界を分けているセット。心に残った振付は、ロミオが後向きでジュリエットの膝を持ち高くリフトする振付。会場全体を見渡せ、高い位置から演技するニーナは凄かった。 1幕の終了です。 今日はもう少し今日は寒い方が良かったかもしれません。体の熱が冷めません。



2幕の始まりです
喧騒、喧嘩、ところが以外と静かな始まり。ジュリエットからの求婚の手紙をさらっと受け取ったロミオは、神父の許へ・・・。リアル現世の象徴・ユリの花、儚さの象徴・頭蓋骨しか無い神父のもとへ懇願するロミオが可愛い。もう2人を止められないし、思いも合致した神父は2人を祝う。 式の場面では長い長いアラベスクをキープしたニーナに拍手がまき起こった。わたしは、頭の中だけに抑えました。見事。
広場では既に喧嘩が始まっており、剣が持ち出されている。
ジュリエットとの結婚を機に、許しとも言うべき「理性」も持ち帰ったロミオは、堅い決意で、敵であった筈のティボルトへの愛を示し、また諍いをなくす決意を表現する。ここは男性にとってのポイント。ウヴァーロフは見事に演じている。上手い。引くところはジュリエットとの愛の為に折れ、仲間には強い威厳で仲裁する。この後の事を鑑みると心が痛む。
ロミオが調子ずくマキューシオを止めた瞬間、ティボルトはマキューシオに剣を突き刺す。岩田さんが光る。この後の長い長い苦悩と死に向かう体現。
ここ大事な部分ですが、死が友人たちを分かつ瞬間、ウヴァーロフの演技とロミオの解釈。
このロミオは自身の決意を引きずっている様に感じました。死によって感情が決意の線を越えた瞬間が無い様に感じました。なぜだろう? たくさんの人間が復讐の流れを作り上げ、まるでロミオは意思とは関係無しに操られている様にすら感じます。なにか大きい力がロミオを突き動かし、理性とは無縁な部分とも思えた(彼の顔つきからすると違うのかもしれません・・・)
結局は運命に翻弄さた様に見えるが、両家を結び付けるだけの強い星を持ったロミオだけに、本人にとって底知れぬ試練が襲いかかってくる台本が見事としか言いようが無い。
キャピュレット卿夫人は狂乱状態。ティボルトが担架で運ばれる中、キャピュレット夫人も一緒にのってしまった。 意表を突いた
やはりロミオとジュリエットは胸が詰まります。



終幕の始まりです(終幕は1場~5場、エピローグで組み立てられております)
寝室のパ・ド・ドゥ。実はあまりの衝撃の為かあまり覚えておりません(もう一度観ますので今度は書きます)。わたし、涙が流れていた事は確かです。ロミオは下手のバルコニーから抜け出し、マントヴァへ旅立ちました。何度も何度も出て行った先を見ているジュリエット。承諾する意思確認の為にキャピュレット夫妻、パリスがジュリエットの部屋を訪れますが、着替えもしないジュリエット、はっきり返事しない娘へのいら立ちがリアル。理由も判らず命令だけを告げる父。
ジュリエットの苦悩が会場の感情を包んでいるよう。
マクミランでは静。ラヴロフスキ版では動。苦悩するジュリエットが見事でした。
意思を決めるべく思いついたジュリエットは、神父の庵へ向かいます。大きいショールを掛けただけで家を飛び出すこの思いは、皆無と思っていたジュリエットに一縷の救い与えられた喜びにすら見えました。
2場、神父の庵に着いたジュリエットは、打ち明ける為に時間を要します。告白出来ないでいるジュリエットに苦しささえ覚えます。ついに神父に告白したジュリエットが授けられる事。恐ろしくもあり希望とも取れる神父の案に勇気を出す、男前さ。
3場、結婚の承諾をジュリエットは両親にします。早速パリスが呼ばれて嬉しそうにジュリエットと踊りますが、そこに居るジュリエットは人間の姿をしているものの、「こころ」はありません。試練、絶望全てを一縷の望みに懸けている決意は、唯一「いま心をなくす事」、あるのは全てロミオの為。
「すべて無い」を見事な迄に、ニーナが演じ切ります。
セクハラパリス(ここもパリス役が見事)はエスカレートし、一瞬我に返ったジュリエットは完璧拒絶。
紳士であるパリスも、気づきここは引き、明日に備えるようでした (彼、ほんとは紳士とは程多い演出です)
4場、散々葛藤したジュリエットが神父からの薬を、迷う事無く飲み干します。どれと比べても大げさでは無いすごくシンプルな最低限の演技。でも凄い。 翌日朝友人たち、乳母がジュリエットの部屋を訪れ、起きないジュリエットに怪訝な乳母。両親もパリス迄も部屋に入って来てジュリエットを待ちます。ここはパリスが入ってくるべき部屋じゃ無いよ・・って言ってほしい!。 乳母が死を知らせます。瞬間的に舞台が暗転。
マントヴァではロミオがジュリエットに会えない苦しみが見事に表現されている。 もうここは私的にウヴァーロフの今日一番の凄さを感じたところ。苦しみが胸を覆ってしまいました。もうここだけでも十分ですが、ジュリエットの死の知らせがくる。ロミオは凄い形相になって走る。
暗転のあと5場は、葬儀が行われています。舞台中央に見た事の無い位に大きな石棺が設置されており、ジュリエットが運ばれています。町中が泣いている。赤い服も、ターコイズブルーの服も、黄色も・・みんな。
葬儀が終わりみんな帰ってしまいました。そうパリスも残っておりません。葬儀後に到着したロミオはジュリエットが安置された大きな石の台の上に駆け上がり死のパ・ド・ドゥが始まります。既に硬直したジュリエットのからだは、見慣れているロミオの意思通りには動かずに悲嘆だけが舞台を包みこみ、あっさり終わり、迫真の演技の中でロミオは毒薬の瓶を取り出し一気にジュリエットの許へ・・・。
ジュリエットが回復してしまいます。(上過ぎて見えないよ!)
ロミオの死を瞬間的に気づいたジュリエットの絶望、表情からは、あ~一縷の望みさえ消えていた。
抱き寄せ、絶望と狂乱の姿を垣間見せた。
ロミオが飲んだ筈の瓶を見つけ飲み込むが、これでもかと言う位の苦しさ。
短剣で一気にジュリエットは果てる
石棺の大きな階段をで2人は果てていたのですが、痛く無かったでしょうか?
怪我しないでね
エピローグが付いている。
モンタギュー卿とキャピュレット卿は、ロミオとジュリエットの持っていた運命を実行した。

文化会館は終了ですね

お疲れ様です
あと、ゆうぽうとの3/10にジゼル、3/14・ロミオとジュリエットが残っております
JAさんのサイトもUP楽しみです
ですが、昨日も書きましたが、最後、音楽が終わらないのに、早く幕引かないで・・・ 観客は拍手するタイミングを完全に外してしまった。
多分10列以降では聞き取れなかったと思いますが、余韻が無かったのは勿体ないです

我ながら、言葉にすると陳腐になる様です
語彙が適切で無い部分は劇場で感じた事を自身の引き出しから選んで見ているのですが、上手くいかないし不満
でもわたしの気持ちは書きました
とにかく『ジュリエット・ダンサーは私にとって女神』は2人目エントリー完了でした。
って言いつつ現役は1人ですが・・

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